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中国のブロガー阮曉寰さんが国家権力転覆扇動罪で逮捕・収監された事件について、これまでも紹介してきました。以下は、2025年8月25日付のドイチェ・ヴェレのサイトに掲載された阮曉寰さんの近況報道および維権網に掲載された投稿の日本語訳です。阮曉寰さんさんがかつて運営していた「編程随想」は、現在では閉鎖されているようですが、Internet Archiveに多くの投稿が保存されており、現在でも読むことができます。
https://web.archive.org/web/20251211133915/https://program-think.blogsp…
(dw.com)阮曉寰(ルアン・シャオホアン)の妻、逮捕から4年ぶりに監獄での面会を許される
筆者:德正
2025年8月25日
「編程随想」のスクリーンネームで知られる阮曉寰が4年前に逮捕されて以降、先週金曜(2025年8月22日)に彼の妻は初めて刑務所で面会することを許された。
阮曉寰は2013年、DW国際ブログコンテスト(Bobs)の最優秀中国語賞にノミネートされた
2023年に中国の裁判所から「国家権力転覆扇動罪」で懲役7年の判決を受けた中国の有名ブロガー「編程随想」(本名:阮曉寰)は、逮捕から4年を経過した先週金曜日(8月22日)、獄中で初めて妻の貝さんと面会した。8月23日に貝さんがXに投稿した内容によると、阮曉寰は「痩せて骨ばった」外見で、ビタミン不足で歯が抜けていたが、精神状態は良好な様子だったという。
貝さんは投稿の中で、金曜日の面会は20分間で、両名は阮曉寰が検察側の証拠群の欠如を不服として申し立てるつもりであること、「私たちは法的手段による闘いをあきらめない」と話し合ったことを記した。また、二審期間中の阮曉寰とその家族に対し、弁護士を上海の弁護士に変更するよう脅したとして、国内安全保衛大隊(原文:国内安全保卫大队)(訳注:日本でいうところの公安、思想警察。以下「国保」と略す)に対して行政訴訟を起こすとも公表した。
【参考資料 維権網に掲載された投稿の全文
https://wqw2010.blogspot.com/2025/08/74.html
「昨日、阮曉寰に会いました。4年以上ぶりのことでした。間近で見ると、裁判の時より老けて痩せているようでした。拘置所での継続的な運動によって筋肉はついていましたが、痩せ細り、関節が突き出ていました。すでに歯周炎を患っており、拘置所でのビタミン不足により前歯を含むいくつかの歯を失っています。彼の両親も心を痛めています。しかし、精神状態は良好で、刑務所での生活環境は以前に比べてあらゆる面で改善しているようです。来月に健康状態の改善がみられることを期待しています。
刑務所は1部屋に8人ずつ収容され、同房者も分類に基づき選抜されているため、房内での環境を心配する必要はありません(※文脈が不明確ながら、「同房者からの虐待の恐れは少ない」ということかもしれません)。部屋では読書することも可能です。
20分間の面会の間、刑務所での体験を話したあと、話題は5月に「第一審判決の維持」で結審した控訴審のことに集中しました(※中国は二審制)。検察側の証拠不十分に対し、彼は拘置所で疑義を申し立てました。私たちは法的手段を放棄せず、闘い続けます。”国宝”(訳注:略称の「国保guo2bao3」が「国宝guo2bao3」の音に通じるため、しばしば言い換えて使用される。パンダが「国宝」とされることから、「警察パンダ」の意味合いが含まれる場合もあり、検閲対策としての言い換えでもある)に対し拘置所内(および外の家族)への脅迫を含む、第二審審理期間中における違法行為について行政訴訟を起こします。」】
「維権網」(訳注:原文 维权网 中国人権擁護ネット。人権擁護に関する情報が集積されるサイト)によると、阮曉寰の判決後、父親と兄は中国警察からの「説得」を受け、政府が雇った弁護士を阮曉寰に選任させるよう圧力をかけられ、阮曉寰の妻(貝さん)は警察に約2時間包囲されるなどした。その後、阮曉寰の事件の二審公判で、上海裁判所は「法律援助弁護士(※原文:法援律师 日本の国選弁護人にあたる)」を強制的に派遣して法廷内の弁護席を占拠させ、阮曉寰氏の妻が選任した弁護士の弁護権行使を妨害し、阮曉寰氏の家族はこれに抗議した。
上海市中級法院は2023年2月の一審で阮曉寰を国家権力転覆扇動罪で有罪として懲役7年と政治的権利剥奪2年を言い渡し、二審も原判決を維持した。刑期満了は2028年5月9日とされる。
阮曉寰は2021年5月10日に上海の自宅から警察に連行され、「国家権力転覆扇動(※原文:煽颠国家政权)」の疑いで刑事拘留となり、パソコンや携帯電話などの私物をことごとく押収された。同年6月に正式に逮捕され、中国当局は彼について政府に対する長年の不満感情を持ったとし、「デマ情報や誹謗を煽る内容……国家権力転覆を扇動し、社会主義制度の打倒を企図した記事を100本以上書いた」と非難した。
略歴
1977年生まれの阮曉寰は2009年にブログ「編程随想(Programming think)」を開設。当初はプログラミングに関する技術的な記事を掲載していたが、その後は「壁越え」手法の伝授にシフトし、中国共産党体制を批評する数百本の記事を掲載した。この中には中国共産党高官の権力と資金関係の結合をネット上で視覚化した「太子党関係ネットワーク(訳注:原文 太子党关系网络)」というプロジェクトも含まれる。
阮曉寰は2008年北京オリンピックの情報セキュリティシステムのチーフエンジニアでもあった。Twitterの個人アカウントで、彼は自らを「党国家のメンツを潰し、洗脳を暴露し、壁越えを普及させ、時折テクノロジーについて語り、いくつかの電子書籍を共有することに熱中している」ITオタク、と表現している。
2013年、阮曉寰はドイチェ・ヴェレ国際ブログコンテスト(Bobs)の最優秀中国語ブログにノミネートされている。インタビューの中で彼は、人々はまずこの一点を理解すべきだと強調していた。「あなたが政治に関心を持たなくても、政治はあなたに関心を持ちつづける」。彼は人々の政治的・心理的資質を育成することによって、人々が進んで社会のあり方に関与し、政治的要求を表明し、洗脳されたり騙されたりせず、「非暴力革命」によって政治変革と体制の転換を実現することを望んでいる。


筆者:德正 ドイチュ・ヴェレ中国語版
https://www.dw.com/zh/%E9%98%AE%E6%99%93%E5%AF%B0%E8%A2%AB%E6%8D%954%E5…