JCA-NETは下記の共同書簡の署名者になりました。

国際共同公開書簡:#KeepItOn:タンザニア政府およびインターネットサービスプロバイダー(ISP)は、2025 年の総選挙期間中、オープンで安全なインターネットアクセスを確保しなければならない

2025年10月28日

宛先 タンザニア連合共和国大統領、サミア・スルフ・ハッサン

CC: ジェリー・シラー議員(情報通信テクノロジー大臣)、ハマド・マサウニ議員(内務大臣)、ジャビル・K・バカリ博士(タンザニア通信規制庁(TCRA)長官)、 フィリップ・ベシミレ、Vodacom Tanzania Plc 執行取締役、ジェローム・アルブー、Yas Tanzania Public Limited Company(「旧 Tigo. Tanzania」)最高経営責任者、ディネッシュ・バルシン、Airtel Tanzania 最高経営責任者、Halotel、およびデジタルプラットフォームおよびインターネットサービスの各サービスプロバイダー各位

世界各国で政府が選挙結果への干渉や民主的参加の阻害を目的として、インターネット遮断を実施しています。この行為は人権を危害するものであり、遮断の常態化を許すわけにはいきません。大統領選挙を控えたタンザニア連合共和国に対し、#KeepItOn(接続を維持せよ)を強く要請します。

私たち、以下に署名した団体およびインターネット遮断の廃止に取り組む 106 カ国 345 以上の組織からなるグローバルネットワーク#KeepItOn 連合」メンバーは、サミア・スルフ・ハッサン大統領に対し、10 月 29 日に行われる選挙期間中、タンザニア共和国の人々がインターネット、デジタルプラットフォーム、その他すべての通信手段を自由に利用できることを公約するよう要請します。

タンザニアの人々が投票の準備を進める中、私たちは、オンラインとオフラインの両方において、情報への無制限のアクセスと、表現の自由、集会、結社の自由の手段を確保することにより、政府が人権を保護する措置を実施、執行することを強く求めます。これは、包括的で自由かつ公正な選挙プロセスを確保するために不可欠なことです。

民主主義社会において、インターネットとソーシャルメディアプラットフォームは、参加型ガバナンスの強化、包摂性と透明性の促進、そしてタンザニア憲法に明記された人権の行使を可能にする上で極めて重要な役割を果たします。デジタルプラットフォームは選挙プロセスや政治候補者に関する公的な議論を可能にし、有権者が政府に説明責任を求めることを可能にします。インターネットアクセスはまた、選挙プロセスを監視・記録・報告するジャーナリスト、人権活動家、選挙監視団の不可欠な活動を促進します。

タンザニアにおけるシャットダウンの歴史

過去数年間、タンザニア当局は選挙期間中にインターネット遮断に頼り、デジタルプラットフォームを通じた人々による市民活動への参加権を著しく阻害してきました。来週の総選挙を控えた現在、当局は2025年5月以降、デジタル通信プラットフォームXを遮断しています。タンザニアで初めてインターネットサービスが遮断されたのは 2020年の総選挙時であり、当局はデジタルプラットフォームを遮断して人々の権利を制限し、情報へのアクセスを制限するとともに、オンラインおよびオフラインでの自由な表現を制限しました。

2024年8月30日、Airtel、Vodacom、Halotel、TTCLを含むタンザニアで事業を展開する複数のインターネットサービスプロバイダー(ISP)および携帯電話企業が、説明なしに Xプラットフォームへのアクセスを約24時間にわたり遮断しました。この遮断は、国内での殺人、誘拐、失踪に関する報告について活動家らが展開したオンラインキャンペーンと時期を同じくしていたとされています。この遮断に先立ち、タンザニア警察は声明を発表し、野党政治家に対し、「当局に拉致された3人の青年指導者を捜索するため警察署を襲撃する」目的で、Zoom上のオンライン集会を通じて若者を動員するとされる計画に警告を発しました。また、タンザニア高等裁判所は、200人以上が拉致されたとの報告を受けて司法調査を開始することを拒否しました。

Xの遮断前には、与党議員や宗教指導者らによるX遮断の繰り返し要求がありました。これに対しインターネットガバナンス・タンザニアワーキンググループ(IGTWG)を含む人権団体は、こうした要求を強く非難し、同プラットフォームが批判的な人々の議論や情報共有を可能にする上で不可欠な役割を果たしていると指摘しました。タンザニア通信規制庁(TCRA)は当時、Xプラットフォームやその他のデジタルプラットフォームを遮断する意図はないと説明したものの、説明なしにXプラットフォーム上の2つのアカウントを削除したと報じられており、人権団体は、この措置がプラットフォームの検閲や制限に向けた憂慮すべき傾向を示すものではないかと懸念を表明しています。

さらに2024年10月3日、TCRAはMwananchi Communications Digitalを30日間停止処分とし、同社の全ソーシャルメディアプラットフォームでの運営に影響を与えました。この措置は「禁止されているコンテンツ」を公開した疑惑に基づくものでした。

さらにこの事件は、2025年10月6日のTikTokライブ及びInstagramライブ機能の遮断など、他の懸念すべき動きに続くもので、タンザニアにおける国家統制の強化とデジタル表現への制限に対する人々の危惧をさらに増幅させました。これらの連続した事件は、全体として、デジタル市民空間の縮小とオンライン上の自由に対する国家干渉の増加傾向を示しています。

これらの動向がもたらす影響は甚大です。民主主義と市民的自由の基盤的原則への挑戦であるだけでなく、基本的人権を保護し、すべての人々にとって開かれた安全なインターネットを促進する包括的政策が喫緊の課題であることを浮き彫りにしています。タンザニアが次の選挙サイクルを迎えるにあたり、政策立案者は表現の自由と情報への権利の推進に取り組む市民社会・擁護団体・市民と積極的に連携し、真に包括的な民主的プロセスを育むことが極めて重要です。

インターネット遮断は人権を侵害し、危機を悪化させ、情報の流れを阻害する

インターネット遮断と暴力は密接に絡み合っています。選挙期間中のインターネット遮断は、重要かつタイムリーな情報の流れを制限すると同時に、市民参加を抑圧します。遮断は情報の空白を生み出し、憎悪や扇動的な発言、誤情報、偽情報の拡散をさらに助長します。

選挙期間中の遮断は、ジャーナリストが現地から報道し情報源を検証することを極めて困難にし、タンザニア国内外で人々が信頼できる情報にアクセスすることを不可能にします。遮断はまた、タンザニア国家選挙委員会、国内外の選挙監視グループ、政党、メディア、市民社会による重要な選挙監視活動を妨げる可能性があります。

最後に、インターネット遮断は人々の生計や経済全体にも影響を及ぼし、デジタル経済に依存する国々、企業、公共機関に数十億ドルの損失をもたらします。したがって、インターネット遮断は、通信部門がタンザニアの社会経済発展を促進し、様々な産業の基盤として果たす重要な役割に向けた情報通信テクノロジー省の最近の取り組みにとっても逆効果となります。

インターネット遮断は国内外の法律に違反する

表現の自由と情報へのアクセス権はタンザニア憲法に明記されています。タンザニアはまた、 市民的及び政治的権利に関する国際規約(ICCPR [日本語])や アフリカ人権憲章といった地域的・国際的枠組みの署名者であり、これらはオンライン・オフラインを問わず、意見及び表現の自由、集会の自由、情報へのアクセス権を保護・促進するものである。 アフリカにおける表現の自由と情報へのアクセスに関する原則宣言2019もまた、国家に対し「公衆の一部または全人々に対するインターネット及びその他のデジタルテクノロジーへのアクセスを妨害する行為に関与したり容認したりしないこと」を求めています。

アフリカ人権委員会(ACHPR)は、インターネット接続の重要性を繰り返し強調してきた。2024年、ACHPRは決議580号を通じ、締約国に対し選挙前・選挙中・選挙後のインターネットアクセスを開放的かつ安全に確保するよう具体的に要請しました。さらに国連事務総長及び専門家らは「全面的なインターネット遮断やサービスの包括的ブロック・フィルタリングは、国連人権メカニズムにより国際人権法違反と見なされる」と明言しています。

通信企業は人権を尊重すべき

国連ビジネスと人権に関する指導原則および OECD多国籍企業ガイドラインの下では、通信企業は自らが引き起こす、または関与する可能性のある人権侵害を防止または軽減する責任を負い、侵害が発生した場合の救済措置を提供する責任があります。 タンザニアで事業を展開する通信企業およびISP(Vodacom、TiGO、Airtel Tanzania、Halotelを含む全ISP)は、質の高い、開放的で安全なインターネットおよびデジタル通信ツールへのアクセスを提供しなければなりません。

インターネット遮断は、タンザニアであれ他の国であれ、決して常態化してはなりません。タンザニアの企業に対し、事業展開するあらゆる市場において、検閲やネットワーク遮断要請に対応する際には、国連原則及びOECDガイドラインと整合する対応をするよう求めます。

提言

サミア大統領に対し、以下のことを要請します。

  • 選挙前・選挙期間中・選挙後を通じて、ソーシャルメディアその他のデジタル通信プラットフォームを含むインターネットが、開放的・アクセス可能・包括的・安全な状態を維持することをタンザニアの「人々」に公に保証すること。
  • 選挙期間中、関係機関・当局は、通信サービス、ソーシャルメディアプラットフォーム、その他のデジタル通信プラットフォームの遮断を命じることを自制するよう求めること。
  • 通信事業者およびISPに対し、サービス品質および免許条件に沿い、選挙期間中およびその後も、高品質で安全、制限なく、中断のないインターネットアクセスを提供するために必要なあらゆる措置を実施するよう確保すること。
  • 通信事業者およびISPは、選挙期間中に発生する可能性のある技術的障害についてタンザニアの人々に周知するとともに、サービス品質に影響を及ぼす恐れのある障害を是正するためのあらゆる合理的な措置を講じることを確保すること。

#KeepItOn連合が、タンザニアにおけるすべての人々にとって、開かれた、安全で、包括的かつアクセス可能なインターネットを維持するために、どのような支援できるか、お知らせください。

署名団体
Access Now
Activate Rights
Africa Freedom of Expression Exchange (AFEX)
Africa Open Data and Internet Research Foundation (AODIRF)
AfricTivistes
Bloggers Association of Kenya (BAKE)
Center for Media Research – Nepal (CMR-Nepal)
Collaboration on International ICT Policy for East and Southern Africa (CIPESA)
Committee to Protect Journalists (CPJ)
COMPUTECH INSTITUTE, Senegal
Females Technology Foundation-FTF
Forumvert
Gambia Press Union (GPU)
Human Rights Journalists Network Nigeria
(IEHA)
Initiative for Embracing Humanity in Africa
Internet Governance Tanzania Working Group (IGTWG)
Internet Protection Society (Russia)
JCA-NET(Japan)
Jonction, Senegal
KICTANet
Koneta Hub- South Sudan
LastMile4D
Life campaign to abolish the death sentence in Kurdistan Network
Media Foundation for West Africa (MFWA)
Media Institute of Southern Africa
Media Rights Agenda (MRA)
Myanmar Internet Project
Office of Civil Freedoms
Organization of the Justice Campaign
Paradigm Initiative (PIN)
SMEX
SMSWithoutBorders
Southeast Asia Freedom of Expression Network (SAFEnet)
Tech & Media Convergency (TMC)
Ubunteam
West African Digital Rights Defenders Coalition
Women Empower and Mentor All (WEmpower)
Zaina Foundation